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ヤ コ ブ
アブラハムは、よく知られている。モーセも割と知られている。 ヤコブは、アブラハムとモーセの間の時代に生きた人物である。 ヤコブは、アブラハムの孫にあたる。
ヤコブは、双子として生まれた。ヤコブの母親リベカは不妊の女であったので、ヤコブの父親イサクが、主に祈願した事によって生まれたのだった。
双子の子どもたちがリベカの胎内でぶつかり合うようになったとき、リベカは「こんなことでは私はどうなるのでしょう。」と思い、主の御心を求めに行った。
すると主は彼女に仰せられた。「二つの国があなたの胎内にあり、二つの国民があなたから分かれ出る。一つの国民が他の国民より強く、兄が弟に仕える。」
ヤコブは、このような主からの預言の言葉は受けて生まれたのである。
子どもたちが成長した時、ヤコブの双子の兄エサウは、狩猟が得意で野の人と呼ばれ、一方ヤコブは、穏やかな人となり天幕に住んでいた。
ある日、ヤコブが煮物を煮ていると、エサウが飢え疲れて野から帰って来た。
エサウはヤコブに言った。「どうが、その煮物を私に食べさせてくれ、私は飢え疲れているのだがら。」
するとヤコブは「今すぐ、あなたの長子の権利を私に売りなさい。」と言った。(長子の権利とは、アブラハムが神から受けた大いなる祝福を受け継ぐ事を指す。)
エサウは、「見てくれ。死にそうなのだ。長子の権利など、今の私に何になろう。」と言った。
ヤコブはエサウにパンとレンズ豆の煮物を与えたので、エサウは食べたり飲んだりした。こうしてエサウは、神の祝福より、たった一杯の食物を選んだのである。
長子の権利を軽蔑したエサウは、後で泣きを見ることになる。
さてその後、父イサクが年老いて、視力が衰えてよく見えなくなった時、いつ死んでしまうかと先を案じ、長男エサウを呼び寄せて言った。
「お前の道具の弓と矢筒を取って野に出て行き、私のために獲物をしとめて料理を作り、私に食べさせてくれ。私が死ね前に、私自身が、お前を祝福できるために。」
それでエサウは獲物をしとめて来るために野に出かけた。
母リベカは、イサクがエサウに話しているのを聞いていた。
そこでリベカは、ヤコブに言った。「今、私は、父上があなたの兄エサウにこう言っているのを聞きました。『獲物を取って来ておいしい料理を作り食べさせてくれ。私が主(神)の前でお前を祝福するために。』
それで今、私があなたに命じることを聞き、飼っているやぎの中から最上のやぎを取っておいで。私がそれで父上の為においしい料理を作りましょう。ヤコブよ、あなたが父上の所にそれを持って行けば、召し上がって、死ぬ前にあなたを祝福してくださるでしょう。」
しかし、ヤコブは、母リベカに言った。「でも兄さんのエサウは毛深い人なのに、私の肌は、なめらかです。もし父上が私にさわるなら、私にからかわれたと思うでしょう。そうなれば、私は祝福どころか、のろいを身に招くことになるでしょう。」
母リベカは、ヤコブに言った。「あなたののろいは受けます。ただ今は、私のよく聞いて、やぎを取って来なさい。」
リベカが、このようにしたのは主の御心の実践だったのだ。母リベカは、神から与えられた預言の言葉を覚えていたのだった。
それでヤコブは行って、母リベカとヤコブは父イサクの為に美味しい料理をこしらえた。それからリベカは、兄エサウの晴れ着を取って来て、弟ヤコブに着せ、また子やぎの毛皮をヤコブの手と首のなめらかの所にかぶせてやった。
こうしてヤコブは、父の所に祝福を受けるために行った。
父イサクは、その子ヤコブに言った。「どうしてこんなに早く獲物を見つける事が出来たのかね?」
するとヤコブは答えた。「あなたの神、主が私のために、そうさせてくださったのです。」
父イサクはヤコブに触り、そして言った。「声はヤコブの声だが、手はエサウの手だ。」
ヤコブの手がエサウのように毛深かったので父イサクには見分けがつかなかった。
そこで父イサクは、ヤコブが持って来た美味しい料理を食べ、ぶどう酒を飲んだ。
父イサクはヤコブに、「我が子よ。近寄って私に口つげしてくれ」と言ったので、ヤコブは近づいて口つげした。
父イサクは、ヤコブを祝福して言った。
「神がおまえに
天の露と地の肥沃、
豊かな穀物と新しいぶどう酒をお与えになるように。
国々の民はおまえに仕え、
国民はおまえを伏し拝み、
おまえは兄弟たちの主となり、
おまえの母の子らがおまえを伏し拝むように。
おまえをのろう者はのろわれ、
おまえを祝福する者は祝福されるように。」
こうして、ヤコブは、父イサクから神の祝福を受けた。
これは、実は祖父アブラハムが神から受けた大いなる祝福だった。
そして、後にこの大いなる祝福を、アブラハム・イサク・ヤコブの子孫として生まれたイエスキリストが受け継ぐことになる。
兄エサウは、この事を知った時大声で泣き叫んだがどうにもならなかった。そして、エサウは父親か祝福したこの祝福のことでヤコブを恨み殺意を持つようになった。
そこでヤコブは、父イサクと母リベカの勧めにより、妻を探す為に、母リベカの故郷にあるリベカの兄ラパンの所に身を寄せるようになるのである。
ヤコブⅡ
ヤコブは、父イサクと母リベカのもとベェル・シェバより、母リベカの故郷ハランへと旅立った。
ある所に着いたとき、ちょうど日が沈んだので、そこで一夜を明かすことにした。
ヤコブは、その所の石を一つ取り、それを枕にして、その場所で横になった。
そのうちに、ヤコブは夢を見た。一つのはしごが地に向けて立てられている。その頂きは天に届き、神の使いたちが、そのはしごを上り下りしていた。
そして、主がヤコブのかたわらに立っていた。主は言われた。
「わたしは、アブラハムの神、イサクの神、主である。わたしはあなたが横たわっているこの地を、あなたとあなたの子孫とに与える。 あなたの子孫は多くなり、東・西・南・北へと広がり、地上のすべての民族は、ヤコブよ、あなたとあなたの子孫によって祝福される。」
こうしてヤコブは、主から長子としての権利を相続したことを知った。
これは、実は祖父アブラハムが神から受けた大いなる祝福だった。
この契約は、アブラハム、イサク、ヤコブの子孫であるイスラエル民族へと引き継がれて行くのである。
そして、後にこの大いなる祝福を、アブラハム・イサク・ヤコブの子孫として生まれたイエスキリストが受け継ぐことになる。
ヤコブは、そこで眠りから覚めて、「まことに主がこの所におられるのに、私はそれを知らなかった。」
彼は恐れおののいて言った。「ここは天の門だ。こここそ神の家にほかならない。」
そしてヤコブは、その場所をベテルと呼んだ。ベテルとは神の家の意味である。
ヤコブは旅を続けて、母リベカの故郷であるハランの地へ着いた。
ふと彼が見ると、野に一つ井戸があった。そこには三つの羊の群れが伏し人々が居た。 その井戸の口にある石は大きく、全部の羊の群れが集まったら、井戸の口にある石を転がし、羊に水を飲ませることになっていた。 それでヤコブは、ハランのその人々に「あなたがたは、私の母親リベカの兄ラバンをご存じですか?」て尋ねると、彼らは「知っています。」と答えた。 ヤコブはまた、彼らに尋ねた。「ラバンは元気ですが?」すると彼らは、「元気です。ご覧なさい。ラバンの娘ラケルが羊を連れて来ています。」
そこへラケルが羊の群れを連れてやって来た。彼女は羊飼いであったからである。
ヤコブは、リベカの連れている羊の群れを見ると、すぐ近寄って行って、井戸の口の石を転がし、自分の母の兄ラバンの羊の群れに水を飲ませた。
そうしてヤコブはラケルに口づけして、声をあげて泣いた。
ヤコブが、自分はラケルの父の親類であり、リベカの子であることをラケルに告げたので、彼女は走って行って、父ラバンにその事を告げた。
ラバンは、妹リベカの子ヤコブのことを聞くとすぐ、ヤコブを迎えに走って行き、彼を抱いて口づけした。そして、彼を自分の家に連れて来た。
ヤコブがラバンに、事の次第のすべてを話すと、ラバンは「あなたは本当に私の骨肉です。」と言った。そしてヤコブはラバンの所に滞在することになった。
ラバンにはふたりの娘があった。姉の名はレア、妹の名はリベカであった。
ヤコブはラケルを愛していた。ラケルは姿も顔だちも美しかった。
ラバンはヤコブに言った。「あなたが私の親類だからといって、ただで私に仕えることもなかろう。どういう報酬が欲しいか言ってください。」
「私はあなたの下の娘ラケルの為に七年間あなたに仕えましょう」とヤコブは言った。 ヤコブはラケルの為にラバンに七年間仕えたが、ヤコブは彼女を愛していたので、ほんの数日のように思われた。
七年経った時、ヤコブはラバンに「期間が満了したのですから私の妻をください。」と申し出た。
そこでラバンは、その所の人々を集めて祝宴を催した。
夕方になって、ラバンは姉のレアをヤコブの所に行かせた。
朝になって、ヤコブが彼女を見ると、それはレアであった。
それでヤコブはラバンに言った。「何ということを私になさったのですか。私があなたに仕えたのは、ラケルのためではなかったのですか。なぜ、私をだましたのですか?」
ラバンは答えた。「我々のところでは、長女より先に次女を嫁がせることはしないのです。
ですから、この婚礼の週を過ごしなさい。そうすれば、次女のラケルもあなたにあげましょう。その代わり、あなたはもう七年間、私に仕えなければいけません。」
それでヤコブがそのようにしたので、ラバンは下の娘ラケルも彼に妻として与えた。
ヤコブはレアよりも、実はラケルを愛していた。それでもう七年間ラバンに仕えた。
主はレアが嫌われているのをご覧になって、彼女の胎を開かれた。しかし、ラケルには子供ができなかった。 レアばかり子供を産んでいるのを見て、ラケルは姉に嫉妬し、ヤコブに言った。「私に子供をください。でなければ、私は死んでしまいます。」
ヤコブはラケルに怒りを燃やして言った。「私が神に代わることができようが。おまえの胎内に子を宿らせないのは神なのだ。」
しかし、神はラケルを覚えておられた。神は彼女の願いを聞き入れて、その胎を開かれた。
さて、ヤコブの子は十二人であった。後に彼らの子孫がイスラエルの十二部族となるのである。
ヤコブの名の意味は「だます」である。
兄エサウより優勢に立ち回り、長子の祝福を手に入れたヤコブ。 しかし、そのヤコブもラバンに懸命に仕えたが、何度もだまされ報酬を変えられた。
ヤコブとラバンとの結果はどうなるのだろうか?
ヤコブⅢ
ヤコブの名の意味は「だます」である。
ヤコブが、ラバンの所に滞在していた時のことである。ラバンはヤコブへの報酬を欺き何度も変えた。
そこでヤコブは、策を講じた。当時は、やぎと羊の数が報酬になっていた。
ラバンがヤコブへの報酬のやぎの数を数えていた時のことだった。
ラバン:「ひぃ、ふぅみぃ、よ、いつ、むぅ、なな」
ヤコブ:「今、何時でっか?」
ラバン:「よ時でんがな…よ、いつ、むぅ、なな、や、ここのつ、とぉ」
ヤコブ:「今、何時でっか?」
ラバン:「だから、よ時でんがな」
こうやってヤコブは時間をラバンに聞きつつ、上手くやぎの報酬を上乗せさせることに成功したのである。
だから何度も言うけど、そんなことはメッゲナイト、そんなことは絶対にないのだった。これじゃ落語である。
だから、真剣なことを書くと、
ラバンは、ヤコブのおかげで自分が祝福されていることを知っていた。ヤコブが来る前には、わずかだった家畜が増えて多くなったのだ。
だから、ヤコブに十二人目の子供が生まれた後、ヤコブがラバンに「妻と子供たちと共に私を去らせ、私の故郷に帰らせてください。」と言った時のことだった。
「あなたの望む報酬を申し出てくれ。私はそれを払おう。」
まだこりないラバンは、相変わらずヤコブにそう言ったのだった。
そこでヤコブは、羊とやきの模様によって自分自身の仕事の報酬を得ることをラバンに提案した。
羊とやきの毛の色は、白いのが一般的である。だから、ヤコブはわざと黒毛が入っている羊とやきを自分の報酬にしてくれるよう言ったのだった。
その提案に気を良くしたラバン。「そうか、あなたの言うとおりになればいいな。」
そう言うとラバンはその日、飼っている群れより白い羊とやきを取り除け、おまけにヤコブの報酬となるはずの黒毛模様の羊とやきまで全て取り除いてしまった。
ヤコブは、それでもラバンの残りの群れを飼った。
そして、ヤコブは、ポプラやアーモンドの木の若枝をとり、群れの水飲み場に置いた。そうすると群れはさかりがつき、黒毛模様のある羊とやきを産んだ。
それで、ヤコブは大いに富み、多くの群れを飼い、らくだやロバまで持つようになった。
ラバンがヤコブにしてきた事をみな、主は見ておられた。
そこで、主は御使いを通して、正当な報酬を得る不思議な方法をヤコブに教えられたのだった。
神は、ヤコブの悩みと仕えた苦労とを顧みられたのだ。やはり、主はヤコブと共におられた。
何度も報酬をごまかしたラバンに対して、ヤコブは神の力によって正当な報酬を取り戻し、神の祝福を受けたのである。
さてヤコブはラバンの息子達が、「ヤコブは我々の父の物をみな取った。」と言っているのを聞いた。
ヤコブもまた、彼に対するラバンの態度が以前のようでないのに気づいた。
身の危険を感じ取ったヤコブは、ラケルとレアを呼び寄せ、事の次第を告げた。
ラケルとレアは答えて言った。「私たちは父によそ者とみなされているのではないのでしょうか。父は私たちを売り、私たちの代金を食いつぶしたのですから。」
そこでヤコブは立って、妻と子供たちをらくだに乗せ、ラバンに内緒で羊とやきの群れを連れ、ヤコブの故郷であるカナンの地へと旅立った。
三日目に、ヤコブが逃げた事がラバンに知らされたので、害を加えようとラバンはヤコブの後を追った。
しかし、神は夜、夢でラバンに現れて言われた。「あなたはヤコブと、事の善悪を論じないように気をつけよ。」
ラバンがヤコブに追いついた時、彼はヤコブの事の善悪を論じることを避け、ラバンとヤコブの家族は食事を共にした。そして、ラバンは、子供たちと娘たちに口づけし彼らを祝福した。それからラバンは去って、自分の家へ帰った。
さてヤコブは旅を続けカナンの地に近づくと、兄エサウを恐れて彼への贈り物を選んだ。ヤコブは、その多くの贈り物を三つに分けて、それぞれをしもべ達の手に渡し、ヤコブの先に進むように命じた。
そして、兄エサウにこう伝えるように言った。「これらの贈り物は、あなたのしもべヤコブのものです。私のご主人エサウに贈る贈り物です。彼もまた、私たちの後ろにおります。」
ヤコブは、第二の者にも第三の者にも同じようにそうさせた。
ヤコブは、贈り物によってエサウをなだめ、そうして後、彼の顔を見れば、もしや快く受け入れてくれるかもわからない、と思ったからである。
それで贈り物はヤコブより先を通って行き、彼は宿営地でその夜を過ごした。
しかし、ヤコブたち家族は、その夜のうちに起きてヨルダン川を渡った。家族は先に行き、そうしてヤコブはだけひとりあとに残った。
すると、ひとりの人が夜明けまでヤコブと格闘した。
ところが、その人はヤコブに勝てないのを見てとって、ヤコブのもものつがいを打ったので、その人と格闘しているうちに、ヤコブのもものつがいがはずれた。
そのはその人は言った。「わたしを去らせよ。夜が明けるから。」しかし、ヤコブは答えた。「私を祝福してくださらなければ私はあなたを去らせません。」
その人は言った。「あなたの名は、もうヤコブとは呼ばれない。イスラエルだ。あなたは神と戦い、人と戦って勝ったからだ。」
ヤコブが、「どうかあなたの名を教えてください」と尋ねると、その人は、「いったい、なぜ、あなたはわたしの名を尋ねるのか」と言って、その場で彼を祝福した。
そこでヤコブは、その所の名をペヌエルと呼んだ。ペヌエルとは“神の御顔”と言う意味である。それはイスラエル、すなわちヤコブが顔と顔を合わせ神を見たからである。
ヤコブがペヌエルを通り過ぎた頃、太陽は彼の上に上ったが、彼はそのももの為に足を引きずっていた。
それゆえ、イスラエル人は、今日まで、もものつがいの上の筋肉を食べない。あの人がヤコブのもものつがい、腰の筋肉を打ったからである。
ヤコブが、“神の御顔”を見る経験をした後、彼は全く変えられていた。
今までヤコブは人を押しのけるようにして何か手に入れて来た。自分自身の力が打ち砕かれて、神の力により頼むようになったのである。
ヤコブが目を上げて見ると、エサウが四百人の者を連れてやって来ていた。
ヤコブは、兄に近づくまで七回も地に伏しておじきをした。
エサウは、ヤコブを見ると彼を迎えに走って来て、彼を抱き、首に抱きついて口づけし、ふたりは泣いた。
エサウは目を上げ、女達や子供たちを見て、「この人たちは、あなたの何なのか」と尋ねた。ヤコブは、「神があなたのしもべヤコブに恵んでくださった子供たちです。」と答えた。
エサウは、弟ヤコブが兄エサウの好意を得たいと思っている事がわかり、贈り物を受け取り、ヤコブを快く受け入れたのであった。
こうして神は、ヤコブとその家族を兄エサウの手から救い出し、ヤコブを無事に故郷のカナンの地へと連れ戻したのである。