2014年2月5日水曜日

父と母を敬まえ


おもしろブログ特集

父と母を敬まえ
 

ユダヤ人イスラエルの民は、幼い頃から、「父と毋を敬まうこと」を貴い事としている。

ユダヤ民謡にザクロという話がある。
ある町に、とても信仰の厚い父親がいた。
その男は、妻とひとり息子に、自分が死んだら毎朝川へ行き、大きなパンを1個投げてくれるよう頼んだ。
そして一つの事を言いのこした。「自分の物でない物は決して食べるな。それは盗みと同じことだ。」

父親が死ぬと、息子は言われた通りに毎朝川へ行き、大きなパンを川へ投げ入れた。
すると、魚が集まって来てそれをつついて食べていた。

ある朝、息子はいつも通りにバンを受け入れると川辺に座って休んでいた。
すると、一個のザクロが川を流れて来た。息子はそれを拾い上げると思わず2つに割って1粒食べてしまった。
その時、息子は父の言い遣した「自分の物でない物を決して食べるな。それは盗みと同じだ。」という言葉を思い出した。
息子は段々気が重くなり、一粒食べてしまったことが非常に苦になってきた。
「もしや貧しい人が落としたザクロを食べてしまったのではあるまいか?今頃、探しているかもしれない。」
そこで、息子は川を逆上り、ザクロの持ち主を探し出し、あやまろうと決心した。
三日三晩歩いたすえに、ようやく彼は川の源へとたどり着いた。
川の源は果樹園の中にあった。
その家の門を叩く、ひとりの美しいヒゲをはやした老人が現れた。「はて、何か用かの?」と老人が尋ねると若者は言った。
「私の父は、自分の物でない物は決して食べるな。それは盗みになる。と言い遣して死にました。三日前、私が川にいると一粒のザクロが流れて来たので、私は拾って思わず一粒食べてしまったのです。私は、父の言葉を忘れてしまい教えを守ることができませんでした。本当に申し訳ないことをしました。私にあのザクロの値段を払わせて下さい。」
すると老人は言った。「あのザクロは、この果樹園で一番貴重なザクロだった。それを金・銀・宝石やお金に変えることはできないのじゃ。そこで、おまえに、私の娘を嫁にもらってもらうことにしよう。ところが、私の娘には手足がない。その様子は丸い球のようじゃ。」
そう老人に言われて若者は、「わかりました。しかし、母に想談させて下さい」そう答えるしかなかった。

若者は家に帰ると毋に事の次第を語った。
母親は「息子よ。あなたはその娘を妻に迎えなければなりません。それがあなたの父親が言い遣こしたことですから。」

若者は、再びザクロの持ち主の所に行き、「あなたの娘さんを、私はそのままで妻に迎えます。」と告げた。

老人は結婚式の準備を全て整えたが、「花嫁は、式がすんでから見せることにする。」と言って若者に娘を会わせなかった。

盛大な結婚式が開かれたが、式のあいだ中ずっと、花嫁は布に包まれていて誰も見ることができなかった。
祝宴の後、老人が花嫁をラクダに乗せ、花婿の実家への土産物を持たせて、若者に言った。
「さぁ、私の娘は、おまえの妻となった。連れて帰ってくれ。」

花婿は、そのまま妻をラクダに乗せ家に帰り着いた。
そして、部屋に花嫁を連れて行ったが、花婿は不安で一杯だった。末だ、花嫁は布に包まれたままなのだ。
なかなかベールを取る気にならなかったが、やがて意を決して心の中で言った。「これが私の運命なのだ。どんな人であろうと、何が出て来ようと、この人を私の妻としよう。」

彼は、花嫁に近づくと、思い切ってベールを取り除いた。
すると、そこには今まで見たこともないような美しいひとりの女性が現れた。その女性は、満月のように美しく、太陽のように輝いていた。彼女が居るだけで部屋の中が明るくなるようだった。
花婿の喜びようは想像できる。
彼の毋親も、彼女の美しさに息を呑んだ。

ある曰、妻の父親である、あの老人が尋ねて来た。
若者は老人に質問した。
「なぜ、あなたは、これほど美しい女性を手足のない球のような娘だと言ったのですか?」
「長い間、私は、娘の為に花婿を探していた。その男は信仰が厚く、正しい若者であって欲しいと願っていた。おまえが尋ねて来た時、私はすぐに、この男こそ、私が探していた男だとわかったのだ。しかし、私の目に狂いがないかどうか、ほんのすこーしだけ、試したくなったのだ。」

モーセの十戒の一つが「あなたの父と毋を敬まえ。あなたの神、主が命じられたとおりに。それは、あなたの齢が長くなるため。また、あなたの神、主が与えようとしている地で、しあわせになるためである。」である。
父と毋を敬まい、その教えを守ったユダヤ人のひとりの若者は、神の祝福をみごとに受けたのである。

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