アブラハムに現れた主
アブラハムは、バビロン(現代のイラン)のウルの地で、神の御声を聞いた。
“あなたは、あなたの生まれ故郷を出て、わたしが示す地へ行きなさい。そうすれば、わたしはあなたを祝福し、あなたの名を大いなるものとする。…地上の全ての民族は、あなたによって祝福される。”〈創世記12:1-3〉
アブラハムは、この後、妻サラと甥のロトを連れて神の示された地、すなわちカナンの地へ向かう。
満天の星が輝く夜の事であった。神はアブラハムを天幕の外に連れ出して語られた。
「さぁ、天を見上げなさい。星を数えることが出来るなら数えなさい。」
夜空には、アブラハムが数えることが出来ないほどの星が瞬いていた。
「あなたの子孫はこのようになる。」
神はそうアブラハムに約束されたのだ。
子供ができなかったアブラハムとサラにとって、それは素晴らしい祝福だった。
アブラハムとサラが、カナンの地にあるヘブロンのマムレの樫の木のそばに住んでいる時であった。
アブラハムが目を上げて見ると、三人の人が彼に向かって立っていた。その人達を見るなり、アブラハムは地にひれ伏して礼をした。それは主という神だったのである。
そして言った「ご主人。お気に召すなら、どうか、あなたのしもべのところを素通りなさらないでください。少しばかりの食べ物を持ってまいります。」 主は、給仕しているアブラハムとサラをよばれ、そして言われた。「わたしは来年の今頃、定めの時にあなたのところに戻って来る。その時、サラには男の子ができている。」 主が約束された通りにサラは身ごもり、そして神がアブラハムに言われたその時期に、男の子を産んだ。
アブラハムとサラは、生まれた男の子にイサクと名付けた。それは「笑う」の意味だった。
この後、神はアブラハムを試練に会わせられた。「あなたの子、ひとり子イサクを連れて、モリヤの地(エルサレム)に行きなさい。そしてわたしが示す一つの山で、全焼のいけにえとしてイサクをわたしにささげなさい。」
翌朝早く、アブラハムは息子イサクを連れて、神が告げられた場所に出かけて行った。 三日目に、アブラハムが目を見上げると、その場所がはるかかなたに見えた。
そして、思った‘私とイサクはあの山に行き、礼拝して戻って来るだ’
アブラハムは、神にはひとり子イサクを復活させることも出来ると考えたのだった。
ふたりは一緒にエルサレムの山に向かって進んで行った。
イサクは尋ねた。「お父さん。全焼のいけにえのための羊はどこにあるのですか?」
アブラハムは答えた。「イサク。神ご自身が全焼のいけにえの羊を備えてくださるのだ。」
ふたりは神がアブラハムに告げた場所に着き祭壇を築いた。そしてアブラハムは、自分の息子を縛り、祭壇のたきぎの上に置いた。 アブラハムは手を伸ばし、刀を取って自分の子をほふろうとした。
まさにその時、主の使いはアブラハムを呼び言われたのだ。『あなたの手を、その子に下してはならない。今、わたしは、あなたが神を恐れることがよくわかった。あなたは、自分の子、自分のひとり子さえ惜しまないでわたしにささげた。』 アブラハムが目を上げて見ると、そこには一頭の牡羊がいた。アブラハムは行って、その牡羊を取り、それを自分の子の代わりに全焼のいけにえとしてささげた。
それから主の使いは、再び天からアブラハムを呼んで言われた。『わたしは自分にかけて誓う。あなたがひとり子を惜しまなかったので、わたしは確かにあなたを祝福し、あなたの子孫を、空の星、海の砂のように増やそう。あなたの子孫によって、地のすべての国々は祝福を受ける。』
この一連の出来事は、エルサレムで、神が、御自分のひとり子さえ惜しまないで、私たち人間のために救いの道を開かれることを意味している。
そして、神がアブラハムに示されたとおり、私たち人間に永遠の命を与えるために、全焼のいけにえとしてイエスキリストは十字架につかれ、死んで復活されたのである。
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